結論から言うと、奏法(吹き方)自体が現在と昔で変わるものではありません。
「いまそんな吹き方流行らないぜ~」「そんな昔の奏法じゃん」などなど。。
ちまたでは、そんな会話を聞かれたり論議したり、という機会もあったかも。
しかし、トランペットの奏法そのものは今も昔も変わりません。
こんにちは還暦過ぎラッパのきのじーです。
20年前に現役を退き、トランペットを触るのも8年ぶりというこの頃です。
自分の「悪い奏法」という面では見直しを図って奮闘中です。
本日も、初心・中級者にわかりやすくトランペット奏法を解説します。
前回の「トランペット」音の調子が悪い。各パターンを分析・解決するに続いて、今回は「トランペットって、今と昔では吹き方・奏法が違うのか。いや、そんなわけはありません」について解説します。
よく考えてみてください。
トランペットはただでさえ、ちゃんと音を出すことですら大変な楽器です。
これをやってはいけない、アレはこうすべき。
トランペット奏法に関しては、ありとあらゆる検証を上書き、修正しながら名だたるレジェンド達が大昔より積み重ね築きあげた結果、確立したものです。
つまり、いかに効率よく簡単に、楽に良い音で自由にトランペットが吹けるか検証済みなのです。
それでも、トランペットは決して楽に簡単に吹けるものではありませんよね?
昔の奏法はキツイ、現代の奏法は楽、そんな短絡的に解決できる問題ならそれこそ楽なのですが^^;。
前回の記事はこちら↓
今回の記事内容
- トランペットの奏法は一緒でも楽曲やジャンルで表現は変わる
- ジャンルにより楽器を変えるわけではない
- マジオ金管奏法「マジオシステム」うまくいかないそのワケ
プロフィールにもある通り、自衛隊音楽隊を退職後は、テレビ歌番ビッグバンドやタレントバックのサポート、テーマパークなどで吹いていました。奏法は昔と今では違いません、「間違ってる」か「正しい」の違いがあるだけです。
この記事を読み終えると、トランペットを吹く奏法に今も昔も無く、「正しい吹き方」の事実のみが存在することに気付きます。
奏法に関する余計な雑音・雑念がスルーでき、初心・中級者のトランぺッターの方などは参考になるかも知れません。
それでは、最後まで、じっくりとおつきあいください。
もくじ
トランペットの奏法は一緒でも楽曲やジャンルで表現は変わる
トランペットの奏法は一緒でも、楽曲やジャンルによってアプローチ、表現方法は変ります。
例えば、「トランペットを吹く上での近代・現代奏法」は存在しませんが、「近代音楽」や「現代音楽」というジャンルは存在します。
音楽のジャンルやカテゴリーも様々ありますよね。
クラシックやJazz、ポピュラーからワールドミュージック、~~。
楽器やマウスピースも変われば、タンギングやレガートのアプローチ、音色までも多彩に変え表現します。
しかし、トランペットを鳴らすべく奏法自体は基本的に変わりません。
また、ジャンルが変わるから、楽器やマウスピースも変わるかというと、そうとも言えません。
どういうことでしょうか。
ジャンルにより楽器を変えるわけではない
・クラシックはこの楽器とこんなマウスピース
・ジャズはこの楽器にこのマッピね
このように選択するプレイヤーもいますが、これはあくまで好みの問題です。
「このジャンルはこの楽器でなくてはいけない」
なんて決まりは無いです。
下手くそはマウスピースを探す
名人はマウスピースを選べる
何て格言?がありますが、確かに私のような下手くそはずっとマウスピースを探してます💦
楽器もしかり。
楽に吹きやすい楽器、マウスピースを選択して吹くことで精一杯です。
トランペット初心・中級者の方は特に、やりたい楽曲やジャンルに合わせて楽器やマウスピースを選ぶ必要はありません。
音の鳴らし方=奏法はそのまま、タンギングやレガートのアプローチを曲想に合わせ表現方法を変えていくだけです。
もちろん、その吹き方もテクニックの1つなので、相当場数を踏み勉強していく必要はあります。
繰り返しますが、トランペットを吹くための基本奏法はあくまで1つです。
クラシック用の奏法とか、ジャズ用の奏法は別々に存在するわけではありません。
とはいえ、トランペットなど金管楽器の奏法はいろいろな「流行り」というものもありました。
○○奏法とうたわれた、あの吹き方やこの吹き方、独特(特殊?)な練習方法を振り返ってみます。
マジオ金管奏法「マジオシステム」
今から45年ほど前になるでしょうか。
「マジオ金管教本」が日本語版でパイパーズから発刊されました。
本をめくると、上記ののようなチンパンジーの写真があり「このアンブシャが理想」と確か書いていたあったと思います。
もちろん私も持っていました(ボロボロになっていつの間にか無くしてました( ;∀;))。当時は、プロアマ問わず多くのトランぺッターが持ってたのではないでしょうか。
マジオと言えばペダルトーン。
おそらく、今では定着している「ペダルトーン」や「シラブル」という概念を基軸とした奏法の発端ではないかと思われます。
発刊と同時に、著者カールトン・マクベスが来日し全国各地でマジオ・クリニックを開催したことも、日本のブラス・プレイヤーにマジオ旋風を引き起こすきっかけとなりました。
マジオ・システムは、セント・ポール交響楽団の首席トランペット奏者として活躍していたルイ・マジオが編みだした、当時としては新しい金管奏法の概念です。
著者のカールトン・マクベスは、スタン・ケントンやウディ・ハーマンなどの超有名ビッグバンドのリード・トランペットを勤めたキャリアを誇ります。
にわかに信じがたい話ですが、このように言い伝えられています。
また、この本には「このシステムで学んだプレイヤーたち」が数多く揚げられており、ラファエル・メンデスやメイナード・ファーガソンほか著名人が名を連ねています。
次回でも紹介しますが、クラウド・ゴードンもマジオに指示してたらしいです。
なにしろ当時は、「基礎・上級コース10週間を終えれば、5オクターブもの音域を楽々に演奏できる」という夢のような驚愕のキャッチフレーズでしたからね!
では、その時代リアルにプロ活動していた私が目撃・体験したマジオシステムの実態、実績はどのようなものだったのでしょうか。
マジオシステムを実践したプロトランぺッター達の末路
末路とは言葉悪いですね、すみません。
ただ当時、マジオシステムを実践して大成功をおさめたプレイヤーを私は知りません。
皆、挫折?してトレーニングをやめるか、口を壊して吹けなくなり引退してしまった人もいます。
私も、エチュード通りにはペダルトーンを吹き切れなかったまま断念して現在に至っています。
マジオシステムはダメなのか
きちんとクリニック等を受けてませんので、私からは何とも言えません。
しかし、5オクターブもの音域を楽々と駆使し、素晴らしい演奏を披露している日本人トランぺッターを日本でまだ見たことがありません。
もし仮にいたとして、その方が「私はマジオシステムを実践してこうなった」と言ってくれたら納得できるのですが。
ただ、私なりに考察してその答えを出すとすれば、「0からのスタート」と「初心者」の”はき違え”ではないかと。
マジオシステムはどんなトランぺッター向けなのか
マジオシステムは初心者、中級者、プロアマ、どのようなレベルのトランぺッター向け(対象)なのか。
ルイ・マジオと著者のカールトン・マクベスは、大事故で顔面も口も崩壊しました。
全く吹けなくなった状態から復活したのだから、「0スタート」のシステムという認識でしょう。
これには、多くのラッパを触ったことの無い、初心・中級者の方や奏法で悩んでいるプロアマの人たちは飛びつきますよね。
しかし、その認識こそ如何なものでしょう。
以下の問題点が考えられるのではないでしょうか。
・腹を使うブレス(エアー)コントロールやシラブルはアンブシャ以上に大切
・口(アンブシャ)を変えずにペダルトーンを音階で2オクターブきっちり吹くのは至難の業
・普通に吹けてるプロが、全ての「クセ」をかなぐり捨て0スタートするリスク
・音すら鳴らない初心者が取り組むリスク
つまり、ルイ・マジオと著者のカールトン・マクベスは、大事故でトランぺッターとして全てを失ったわけではない。
奏法で最も大事ともいえるキモの部分「腹を使うブレス(エアー)コントロールやシラブル加減」は達人レベルのままで、決して「0スタート」ではありません。
そこの違いこそ、果てしなく大きな差となります。
これでは、ハイトーンを吹くアプローチもWアンブシャを使う悪いクセができてしまいます。
サンドバルのように、口を変えずにあそこまでペダルトーンが曲で吹けるプレイヤーは世界広しと言えどもそうそう見かけません。
以上から、マジオシステムは初心・中級者やプロアマのトランぺッターが取り組むのは壁が厚すぎると言わざるを得ないのです。
まとめ:トランペット上達に「特殊奏法」の飴は無い
決して、マジオシステムが「特殊奏法」と言っているのではありませんヨ。
ペダルトーンは、トランペットを吹く奏法・テクニックの概念としては覚えておくべき1つのアプローチです。
「特殊奏法」と、あえて言ったのはトランペットを吹く奏法・テクニックにおいて特別に楽な、簡単なトレーニングなど存在しないということ。
楽で簡単、近道という特殊な奏法は残念ながらありません。
トランペットは大昔から現在まで、吹き方(奏法)は一緒です。
マジオシステムは、参考程度に取り組みましょう。
今でも、手に入る金管教本です。ヤフオクとかでも取り扱いがあるかも。
でないと、目ん玉飛び出るの必須wです^^。金額じゃないですよ。
音符の絵ずらに。
今回は以上になります。
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