トランペットのピボット奏法って良いの悪いの?誰がやってる

トランペットのピボット奏法って良いの悪いの?誰がやってる
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トランペットの「ピボット奏法」を聞いたことありますか。これって何が良いシステムなのでしょう。また、どんなプレイヤーが実践してるのかな?
管理人きのじー

「ピボット奏法」は昔々、トロンボーン奏者のラインハルトが定義する奏法の一つでした。
当時多くのトランペットプレイヤーにも、何かしら影響を与えたものです。でも、あなたも普段何気なくやってる奏法かもしれませんよ。

こんにちは還暦過ぎラッパのきのじーです。
20年前に現役を退き、トランペットを触るのも8年ぶりというこの頃です。
初心・中級者にわかりやすくトランペット奏法を解説します。

前回のトランペット今昔|吹き方違うの?近代・現代奏法とはでは「マジオ金管奏法」に触れました。今回は奏法続きということで「ピボット奏法」についても考察してみました。

前回の記事はこちら↓

トランペット今昔|吹き方違うの?近代・現代奏法とは
トランペット今昔|吹き方違うの?近代・現代奏法とは
トランペットって、今と昔では吹き方・奏法が違うのか。そんな疑問に答えたいと思います。 結論から言うと、奏法(吹き方)自体が現在と昔で変わるものではありません。
2020-09-24 19:39

この記事を読んでいるトランぺッターのあなたが、
「ピボット奏法」ってどんな吹き方?、それはテクニックの為になるの?どんなプレイヤーが実践してるの?
など々の疑問や
興味があれば、なんらかの参考になるかも知れません。

今回の記事内容

  • ピボット奏法の一般論「ベルの角度の上下」
  • ピボット奏法3要素「呼吸・タンギング・アンブシュア」
  • ピボット奏法の本質と真実

この記事の信頼性

この記事の信頼性

プロフィールにもある通り、自衛隊音楽隊を退職後は、テレビ歌番ビッグバンドやタレントバックのサポート、テーマパークなどで吹いていました。「ピボット奏法」は簡単に言うと音域に応じて息の流れの角度を「上向き」や「下向き」に移動し、ツボにハメるシステムです。

この記事を読み終えると、「ピボット奏法」が唱えるトランペットの吹き方があなたの奏法の何に役立つのか、がわかります。

また、自身の奏法を一般的な好ましい奏法と比較することにより、トランペット奏法論の広さを学ぶことができます。

それでは、最後まで、じっくりとおつきあいください。

もくじ

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ピボット奏法の一般論「ベルの角度の上下」

ピボット奏法の一般論「ベルの角度の上下」
ピボット奏法の一般論「ベルの角度の上下」

ピボット奏法というと一般的には「ベルの角度の上下」により音域をスムーズに吹く奏法論と捉えていることが多いのではないでしょうか。

・高い音域に移行するほどベルは下がり
・低い音に移行するほどベルは上がる

こういうパターンが殆どで、ごく一般的な認識かもしれません。
あなたはどうですか。私は元々ベルが直角より上がってるのですが、ほぼこのパターンです。

これが正解だから、こうなってないならこういう奏法にしろ!

ということでは決してありませんよ 🙄
あくまで、息の流れを振動と音階に合わせ鳴るツボを探した結果、自然にこうなっている、ということです。

また、極端に角度が変わるならそもそも奏法としては破綻しています(曲など吹けないですからね💦)。

逆に、高い音にいくほどベルが上がってくるプレイヤーもいます。
また、ベルの角度は全く変わらず、一定のままペダルからトリプルまで吹き切るプレイヤーもいます(素晴らしいですよね!)。

もちろん、それぞれが一流の著名なトランぺッターたちを前提に話してます。
管理人きのじー

人は皆、骨格や歯並びも違い、吹きやすいポジショニングもそれぞれの個性があります。

藁氏は今まで、マッピは唇の真ん中より大幅にずれ、ベルはおおよそ考えられない方向にアッチャ向いてる!?
そんな名人を何人も目の当たりにしてきました。

それが1番吹きやすいんですから、それでいいんです。
「トランペットに正しい吹き方もナンモあったものじゃない」
私はそう結論付けています。

まぁ、それは「骨格や歯並び、吹きやすいポジショニング」を経てそうなった結果ということです。
腹式からのブレスコントロールやアンブシャ、シラブルなど「奏法」本編は次のステップの話になります。

話を戻して
「ベルの角度の上下」により音域をスムーズに吹く、ことなら皆やってんじゃん。どこがピボット奏法のシステム論なの?

って疑問がありますよね。

実は、ラインハルトはアンブシュアの動きのことを初めは「ピボット」と呼んでいました。
この教育法の概要をわかりやすく提示・解説するのは非常に難しいんです。。

でも大丈夫!初心・中級者の方でもわかりやすいよう説明します。
参考程度に「聞き流す」つもりで読み進めてください。

ピボット奏法3要素「呼吸・タンギング・アンブシュア」

ピボット奏法3要素「呼吸・タンギング・アンブシュア」
ピボット奏法3要素「呼吸・タンギング・アンブシュア」

ドナルド・S・ラインハルト氏はピボット奏法を「科学的・実用的であり、音域・音量・耐久力・柔軟性に最大限の効果が証明されたメソッド」と言っています。

そのメソッドの具体的内容として「呼吸・タンギング・アンブシュア」の3つのアプローチ方法を示しています。

くれぐれも、まずは奏法云々以前の”吹き方”は前述のまま、あなたの好きな吹き方で問題ありません。

そして次のステップ「呼吸・タンギング・アンブシュア」実践は、それぞれの現状における個別要素に応じて、改善するイメージでOKです。

わかりにくいですよね?
具体的に、理解しやすいよう話を進めます。

ピボット奏法における「呼吸法」

ピボット奏法における「呼吸法」
ピボット奏法における「呼吸法」

ピボット奏法における「呼吸法」は、多くの金管奏法が提唱するオーソドックスな「良い姿勢を保つ(座っても立ってても)」というベースでは一緒と言えます。

ただ、ブレスの取り方とタイミングがちょっと違うんですよね。以下のように。

・フレーズに必要なだけブレスする
・息継ぎは必ずしも素早くする必要はない、可能な限りゆっくりでOK
・息継ぎの際は口角から息を吸う

1つずつ説明します。

フレーズに必要なだけブレスする

吸い過ぎは注意ということです。
体に力みが生じて、高い音などめまいが起きたりの問題が起こる。
腹の隅々まで目いっぱい吸い込む、という教えとは逆ですよね。

確かに、吸い込み過ぎは力みが生じるのは事実です。そして、吹いた後も余分な力みが残ると感じてました(個人的な意見です)。

息継ぎは必ずしも素早くする必要はない

ノーズブレスで素早く「スッ」と取り込む、という一般奏法論と逆です。
可能な限りゆっくり、というのも演奏全体を吹くためのリラックス効果でしょうか。

息継ぎの際は口角から息を吸う

これも、ノーズブレスとは考えが違う。
これは、口からマウスピースを離すのを防止するためでもあるようです。(再セッティング時のトラブル、ミス防止の意味もあるようだ)

ただ、フレーズ間の少しの休みでもマウスピースを外し唇を休める、という教えには反していますね。
セッティングが驚異的に早いプレーヤーに名人が多いのも事実なのですが。

ピボット奏法における「タンギング」

ピボット奏法における「タンギング」
ピボット奏法における「タンギング」

ラインハルトは、ピボット奏法タンギングにおいて以下の3つのシラブル(舌のコントロール)を定義しています。

①舌の高さで音域をコントロールする
高音ほど舌を盛り上げ、上顎との隙間を狭める

②息の量とスピードは舌を後ろに引く距離ではかる
(あくまで要素の一つである)

③歯や唇につける舌の先端の位置、動かし方
リップトリルやシェイクなどでこの部分をピロロロロ~って動かす奏法があります。

舌を持ち上げ、上顎との隙間を狭めたり、開けたりするシラブルコントロールは多くのプレイヤーが実践しているのではないでしょうか。

②の、舌を後ろに引く距離で、息の量とスピードを測る、というのはちょっと難しく私には理解がまだ及んでいません。

③の舌先の位置に関して、ラインハルトは「舌が唇に当てて発音することはダメ!」と言っています。

①②③のやり方はタンギングを前提に、そのあとのシラブル(舌のコントロール)の状態を言っていると理解できます。

管理人きのじー私は、舌先は唇にあてずとも下歯の裏側にあてたままの状態で、タンギングから①②③のコントロールをします。

タンギングは、舌先付近上側が上顎と接触し発音します。余分な動作ロスが少なくスピーディかつ自然です。
なにしろ、面倒くさくなく楽なんですよね^^;

ピボット奏法における「アンブシュア」

ピボット奏法における「アンブシャ」
ピボット奏法における「アンブシャ」

ピボット奏法におけるアンブシュアの解釈は、「こういう風に吹きなさい」と形を限定するものではありません。

それぞれの個々のアンブシュアの「息の流れの方向」「アンブシュアの動き」の特徴から学ぶべきものに応用し活かしたもの。
ちょっと、何言ってるかわかんないかもしれませんけど、表現が難しいです、すみません。。

前述したように、「ピボット奏法」の最初はこの「アンブシュアの動き」のことを指した奏法論でした。

「息の流れの方向」

ピボット・システムによると「息の流れの方向」は、マウスピースの中の上唇と下唇の割合に影響され決定ずけされる、としています。

つまり「息の流れの方向」は、楽器のベルの向き・角度によるものではない。
ということ。

その上唇と下唇の割合とは、プレイヤーにより様々です。
A)ど真ん中5対5(息の流れが真直ぐ)や、B)上1/3下2/3(息の流れが上方向)C)上2/3下1/3(息の流れが下方向)など。まだまだ細かな割合はあります。

いずれも、

・高音に行くほど息の流れは下方向、
・低音に向かうほど息の流れは真直ぐから上方向の角度に近づく

ということです。

初心・中級者のトランぺッターの方などがピボット奏法を学ぶとすれば、
奏法を変えたり、いじるのではなく上記の「息の流れの方向」に注力することこそがポイントと言えるでしょう。

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まとめ:ピボット奏法の本質と真実

ピボット奏法の本質と真実
ピボット奏法の本質と真実

ピボット奏法の本質と真実は、以上のように一般的に認識されているシステムとは若干異なるものです。

ピボット奏法のシステムは当初「アンブシュアの動き」に注力するものだったと幾度も前述しました。
更に具体的に説明を追記すると以下の通り。

▶プレイヤー個々のマウスピース上唇・下唇の割合バランスに応じた息の流れを圧力により移し替える。
▶その結果、音が明確にヒットするツボをとらえる為には楽器がわずかに傾けられる。

このように、決して音域をコントロールするために楽器をあちこち上下に動かすことを前提としているわけではありません。

マウスピース上唇・下唇のバランス移動

ここが、ラインハルトが教えるピボット奏法の本質と真実の最大のキモの部分です。以下になります。

ベル(楽器)を上下に角度を変え動かすのではなく、マウスピースを当てた唇そのままに上下にスライドするイメージ。

プレイヤーによっては、
①音域が上がるにつれマウスピースと唇が鼻の方へと近づく(スライドする)
パターンもあれば、
②音域を上げるためにマウスピースと唇を下あごの方向へと引き下げる。

トランぺッターもいることでしょう。

要は、「音が明確にヒットするツボをとらえる息の流れ方向に注力する」ことが大事というです。

あなたの息の流れはどうですか?

アンブシュアタイプは人それぞれ様々なパターンがあり、それはそれでよいのです。
管理人きのじー

 

 

初心・中級者のトランぺッターの方などは今の吹き方のまま「音が明確にヒットするツボをとらえる息の流れ方向」に注力し鳴るツボを探してみてください。

<補足>

ピボット奏法では当初アンブシュアタイプは9つに分類されていました。
のちに、継承する弟子たちによりタイプが被る奏法を精査し3~4つに簡素化されています。

詳細に関しては前述した、ピボット奏法における「アンブシュア」で解説したA、B、Cに更に歯並びなど要素が追加され、より詳細(複雑)な内容となっています。

今回は、

ピボット奏法とは楽器の角度を変えながら吹くシステム

ではチト違う。
半分正解、半分外れ。

答えは「音が明確にヒットするツボをとらえる息の流れ方向に注力する」こと。

などなどについて解説しました。

本日は以上になります。


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